糖尿病
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51 巻 , 4 号
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特集 老化研究の進歩と糖代謝
原著
  • 平尾 利恵子, 北村 哲宏, 幸原 晴彦
    2008 年 51 巻 4 号 p. 303-308
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    河内長野市は,第2次,第3次産業就業者が96.9%を占める大阪南部のベッドタウンである.市内から当院への最長通院距離は約12 kmであるため,おおよそ半分である5 km内外で分けられる2群の患者の年齢分布と平均HbA1cは,統計学的に有意差がない.この条件下では糖尿病患者は市内から均等に受診していると考えられる.当院の患者は平均年齢60歳半ばであり,55∼64歳で男女とも来院患者が急増する.男女とも平均HbA1cは年齢とともに改善している.年間受診6回までの患者群が96.3%を占め,これらの群の平均HbA1cは7%以下で良好であった.2007年以降当院では団塊世代の患者受診急増が予想されるが,糖尿病進行防止のため,大多数であるコントロールが安定した患者を対象に,かかりつけ医との共観システムを開始した.当方法は普遍的に糖尿病診療に寄与するためのモデルとなると思われる.
  • 岩城 正輝, 石丸 勝雄, 中屋 豊
    2008 年 51 巻 4 号 p. 309-317
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    コントロール不良となった2型糖尿病患者に,短期強化インスリン療法(SIIT)と,その後療法として,β細胞保護療法(UTB)を継続することにより,長期の血糖コントロールが可能かどうかを検討した.コントロール不良(HbA1c 8%以上)となった2型糖尿病患者に,入院クリティカルパスによるSIITを行い,糖毒性を解除した後,UTB(α-GI, メトホルミンの併用と,短時間作用型SU薬であるグリクラジドを最少量,最短期間で使用)を継続した41例の,その後のHbA1cの推移を1∼7年にわたって観察した.SIIT後,UTBを継続することにより73%の例でHbA1cを6.4%以下に,90%の例でHbA1cを6.9%以下に長期間(1∼7年),コントロールすることが可能であった.これらの結果は,進行性にβ細胞機能の低下してゆく2型糖尿病の治療において,β細胞の糖毒性と過負荷を取り除き,β細胞を保護する治療法の有用性を示唆していると思われる.
症例報告
  • 伊坂 正明, 松田 ひとみ, 山田 信博
    2008 年 51 巻 4 号 p. 319-322
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性,43歳時に糖尿病と診断され経口糖尿病薬を開始された.その後,自己判断で治療中断した.46歳時に糖尿病ケトーシスと診断され,当院入院となった.ペンフィル®R注とペンフィル®N注による治療を開始したところ,肝障害が出現した.インスリンアナログ製剤のノボラピッド®注とランタス注オプチクリック®に変更したところ,肝機能はさらに悪化した.このためグリベンクラミドの内服療法に変更した.この結果,肝機能は改善した.しかし,血糖コントロールは不良となったため,大腸菌由来インスリン製剤であるヒューマカート®R注とヒューマカート®N注による治療に切り替えて治療を行った.その後は,血糖値は良好にコントロールされ,肝機能の悪化も認められなかった.薬剤によるリンパ球刺激試験(DLST)では,酵母菌由来インスリンおよびインスリンアナログ製剤で陽性,大腸菌由来インスリンおよびインスリンアナログ製剤では陰性であった.以上より,酵母菌由来の製剤が肝障害の原因であると診断した.
  • 乙田 敏城, 櫻井 勝, 太田 嗣人, 栗田 征一郎, 御簾 博文, 清水 暁子, 安藤 仁, 金子 周一, 篁 俊成
    2008 年 51 巻 4 号 p. 323-327
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例1は31歳女性.1カ月前から口渇を認め当科受診.空腹時血糖値219 mg/dl, HbA1c 8.8%, 抗GAD抗体陽性.潜在性甲状腺中毒症状態で,TSH受容体抗体陽性であった.症例2は51歳女性.50歳時に糖尿病と診断され内服加療を受けるも血糖値が改善せず当科入院.尿中CPR 12 μg/日と低下し,抗GAD抗体陽性.甲状腺中毒症を認め,甲状腺刺激抗体陽性であった.2例ともに1型糖尿病とバセドウ病を同時期に診断しえた.症例1は急性発症1型糖尿病の疾患感受性HLA B61, DR9, ハプロタイプとしてDRB1*0901-DQB1*0303をホモで有していたのに対し,症例2は1型糖尿病の疾患感受性対立遺伝子であるDRB1*0405とDQB1*0401および疾患抵抗性のDQB1*0601を合わせ持っていた.1型糖尿病発症様式の異なる両症例にはHLA型にも差異を認めた.
  • 須田 健一, 橋本 俊彦, 江藤 知明, 岡田 朗
    2008 年 51 巻 4 号 p. 329-333
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性.2型糖尿病に対し近医にて通院加療中,自殺企図にてインスリンリスプ口約300単位を9箇所に分けて皮下注射し,約1時間40分後に母親に連れられて当院救急外来を受診した.来院まで糖分の入ったジュース(ショ糖約30 g)摂取あり.来院時,意識清明,血糖値60 mg/dl, このときのIRI 3,365 μU/mlであった.適宜血糖値を測定しつつ,経静脈的にブドウ糖投与を行った.血糖降下は少なくとも約12時間持続し,総ブドウ糖投与量は260 gであった.経過中,特に重篤な合併症は認めなかった.自殺企図によるインスリン大量注射の報告は近年わが国でも散見されるが,超速効型インスリンアナログを使用した症例は稀である.超速効型インスリンアナログの普及に伴い,今後このような症例が増加してくる可能性があり,治療に際しては,超速効型インスリンアナログであっても血糖降下作用が遷延する事を考慮すべきである.
  • 谷口 尚大郎, 劉 宏仁, 松下 隆司, 長友 優尚, 中村 周治, 中島 知徳
    2008 年 51 巻 4 号 p. 335-340
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性.1998年に近医で糖尿病と診断され経口血糖降下薬を開始されたがコントロール不良のため2001年ノボラピッド®開始,翌年ノボラピッド30mix®へ変更となる.変更後6カ月頃より注射直後に周辺の掻痒感や気分不良が出現したがインスリンは継続していた.同年,注射直後に全身の蕁麻疹,強い吐き気,喉頭の違和感が出現し意識朦朧となり近医を受診,インスリンによるアナフィラキシーショックと診断されインスリン中止となった.以後,5年間は近医で経口血糖降下薬にて治療されていたが,血糖コントロール不良が続き当院入院となった.皮内テストでは現在使用可能なほぼすべてのインスリンで注射直後に発赤が出現,入院後の検査所見および経過より経口血糖降下薬のみではコントロール困難と判断し,抗ヒスタミン薬・Th2サイトカイン阻害薬併用でインスリン脱感作療法を行い経口血糖降下薬との併用で良好な血糖コントロールを得た.
  • 渡邊 祐子, 藤井 仁美, 宮川 高一, 福山 次郎
    2008 年 51 巻 4 号 p. 341-346
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    本邦での高浸透圧高血糖症候群(HHS)と糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の合併例の報告は少ない.われわれの経験した5症例は,平均年齢43.6歳,随時血糖1,800 mg/dl, HbA1c 13.4%, 血清浸透圧419 mOsm/kgH2O, 補正後血清ナトリウム値164 mEq/lであったが,意識障害の程度は比較的軽く,全例pH 7.00∼7.24の中等度DKAを合併していた.経過中,横紋筋融解症,stress-induced cardiomyopathy, 急性腎不全,腎膿瘍,肺梗塞症,カンジダ症など多彩な合併症を発症し,全例ICU管理を要したが後遺症なく退院した.退院時治療はインスリン1例,経口薬2例であった.発症誘因は,感冒または清涼飲料水多飲であった.2例は統合失調症であり,糖尿病の既往のある3例中2例が放置例であった.HHSとDKAの合併例は,発症年齢が比較的若く生命予後は良好であるが,多岐にわたる重篤な全身合併症が出現し,多くの人的物的医療資源を要する.若年肥満者や清涼飲料水消費の増加に伴い今後増加が予測され,高リスク群への介入および治療中断予防が重要と考える.
コメディカルコーナー・原著
  • 瀬戸 奈津子, 和田 幹子
    2008 年 51 巻 4 号 p. 347-356
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    わが国のフットケアの現状と課題を明らかにするために,社団法人日本糖尿病学会認定教育施設を対象に,フットケア活動の実態を郵送法により質問紙調査した(399部配布・278部回収:回収率69.7%).84%の施設が「フットケアを実施している」と答え,主にフットケアを行っている職種は,「看護師」「内科医」「皮膚科医」の順に多かった.また,《検査》《処置》《ケア》のいくつかの項目に職種とフットケア内容の深い関係がみられた.フットケアの工夫点として,『システムの工夫』『問診内容の工夫』『自己管理につなげる工夫』『自己管理への働きかけの工夫』『信頼関係作りへの工夫』『手技の工夫』等がみられ,フットケアの困難点として「人手不足」「時間不足」「施設整備の不足」「医療スタッフの知識不足」という意見が多くみられた.フットケアに対する今後の抱負として〈技術の向上・獲得〉〈スタッフの育成〉〈システムづくり〉等がみられた.これらの結果から,わが国のフットケアの現状と課題が明らかになり,看護師によるフットケアの確立に向けて多くの示唆を得た.
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