抄録
短時間作用型インスリン(In)分泌促進薬であるナテグリニド(NG)のスルホニルウレア受容体(SUR)を介した内因性In分泌能(NGISA)と,内因性Inに対するIn感受性(IS)を同時に評価するNG負荷試験を考案し,2型糖尿病患者50例で検討した.NG 60 mg投与60分後のIn値(IRI60)は食事負荷2時間後の血中CPRと,IRI60とNG 60 mg投与前と投与後60分の血糖値で算出されるNG指数(NGI60)はIn負荷試験のブドウ糖消失率と良好な正の相関が認められた.ROC解析によりIRI60<7.8 μU/mlで血糖コントロールでのIn治療の必要性が,NGI60<1.0 0/000 min-1 μU-1でインスリン抵抗性改善薬の適応が判定可能と判明した.したがってNG投与前後2回の採血でNGISAとISを簡便に同時測定可能な本試験は,2型糖尿病の治療法選択上有用な情報を提供すると考えられた.