糖尿病
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症例報告
2型糖尿病に自己免疫性膵炎を合併し自然寛解した1例
吉岡 修子加藤 二郎森 康一中村 二郎
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2008 年 51 巻 5 号 p. 445-449

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抄録
症例は75歳,男性.20年前に糖尿病を指摘されインスリン治療中であった.入院半年前から血糖コントロールが悪化し1カ月前から食思不振,体重減少,さらに黄疸が出現し入院となった.CTでは膵臓にびまん性の腫大,胆管狭窄と後腹膜腫瘍,ERCPでは主膵管の不整狭窄を認めた.診断と治療目的で開腹術を行った.病理では胆管はリンパ球と形質細胞の浸潤,膵臓は腺組織の破壊と炎症性細胞浸潤が著明であった.悪性所見は認められず,自己免疫性膵炎,硬化性胆管炎および後腹膜線維症と診断し肝外胆管切除と胆管空腸吻合術を行った.ステロイド療法は行わなかったが血糖コントロールは改善し膵の腫大も後腹膜線維症も縮小し自然寛解の経過をたどった.自己免疫性膵炎では糖尿病が高率に合併しステロイド治療が奏効することが多いとされている.一方,自然寛解例の報告もあり,今後それぞれの経過や成因,病態の違いを明らかにしていくことが重要と考える.
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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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