糖尿病
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症例報告
Pioglitazone併用によりインスリン使用量を減少しえた糖尿病合併進行性筋強直性ジストロフィーの2症例
阿部 麻記子梅園 朋也小林 貴子大貫 恵子加藤 麻祐子宮内 雅晃山本 直之木村 守次豊田 雅夫鈴木 大輔
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2009 年 52 巻 3 号 p. 235-238

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抄録

進行性筋強直性ジストロフィー(以下MyD)患者にはしばしば糖尿病を合併し,骨格筋におけるインスリン抵抗性の存在が想定されており,インスリン抵抗性改善薬の有用性が期待される.Pioglitazoneによりインスリン必要量を減少しえた糖尿病合併進行性筋強直性ジストロフィーの2症例を経験したので報告する.症例1: 63歳,女性.48歳時MyDと診断.62歳で血糖高値指摘,HbA1c 10.8%でインスリン導入,1日最大54単位必要であったインスリンがpioglitazoneを開始後14単位に減少した.症例2: 50歳,男性.30歳時MyDと診断.39歳で糖尿病指摘.42歳から強化インスリン療法導入.筋力低下により頻回注射困難となるが,pioglitazoneを開始したところ,1日あたりのインスリン量20単位が4単位まで減少した.糖尿病を合併したMyD患者へのpioglitazoneの投与は,インスリン抵抗性改善による血糖降下作用の可能性が示唆され,インスリン投与量の減少から患者の負担の軽減ができると考えられた.

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© 2009 一般社団法人 日本糖尿病学会
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