糖尿病
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原著
インタクトプロインスリン/インスリンモル比の特徴と臨床的意義(その1)
—基準値の設定と耐糖能障害における膵β細胞機能との関係—
河津 捷二矢澤 麻佐子今井 康雄堀江 均久野 義和小山 雄平石田 均小澤 幸彦鈴木 清岩本 安彦佐倉 宏金澤 康徳河盛 隆造内野 泰小林 哲郎会田 薫伴野 祥一長坂 昌一郎松葉 育郎丸山 太郎税所 芳史葛谷 健
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2009 年 52 巻 7 号 p. 537-545

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抄録
化学発光免疫測定法を原理としたIntact-Proinsulin Assay® (MLT Research Ltd.)を用いて,早朝空腹時における血漿中インタクトプロインスリン/インスリンモル比(以下P/I比)の基準値とその臨床的有用性を検討した.正常耐糖能者群において,P/I比は肥満者(BMI≥25 kg/m2)では有意に低値を示した.非肥満成人(30歳以上)の正常耐糖能者150例を対象に設定したP/I比の基準範囲は,0.04∼0.31であった.このP/I比は,耐糖能の悪化の程度に従って有意に上昇し,糖尿病群の中でも空腹時血糖高値群は低値群に比して高値となり,さらに初期インスリン分泌能を示すInsulinogenic Indexと逆相関を示した.以上,早朝空腹時のP/I比はインスリン分泌能と密接な関係を有し,膵β細胞の疲弊ないしは機能低下の簡便な指標として利用できる可能性が示唆された.
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© 2009 一般社団法人 日本糖尿病学会
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