抄録
2型糖尿病患者のインタクトプロインスリンに対するインスリンのモル比(以下P/I比)について,各種パラメータとの関係を単相関および多変量解析を行った.また,要因別の測定値比較も行った.単相関解析では,P/I比はHOMA-βおよびInsulinogenic Indexと強い負の相関を認めた.多変量解析では,インスリンはBMIと,インタクトプロインスリンは空腹時血糖およびBMIとの間に各々有意な関係を,そしてP/I比はこれらに加えて罹病期間との間にも有意な関係を認めた.要因別比較では,家族歴あり群と糖尿病合併症あり群で,各々なし群に比し有意に高値を示した.糖尿病治療法別群間の比較では,P/I比は食事運動療法群に比しグリベンクラミド群,グリメピリド群で有意に高値を示した.以上,空腹時P/I比は,膵β細胞機能を評価する簡便で有用な指標であると考えられた.