抄録
冠状動脈マルチスライスCT(MSCT)の検査を受けた131名の糖尿病患者において,頸動脈エコーにおける総頸動脈内膜中膜複合体(IMT)およびプラーク病変厚の総和[プラークスコア(PS)]を測定し,冠状動脈硬化病変との関係を検討した.冠状動脈有意狭窄(≥50%)病変を有する群は有さない群に比べ,IMT,PSは,有意に増加していた.冠状動脈有意狭窄(≥50%)病変の有無の識別を予想する受動者作動(ROC)分析ではPSにおける感度,特異度はそれぞれ74%,70%で,IMT(それぞれ59%,60%)に比べ,高かった.冠状動脈有意狭窄(≥50%)segment数とIMT, PSの間には有意の相関関係が認められた(IMT: r=0.252,p<0.01およびPS: r=0.391,p<0.01).冠状動脈有意狭窄segment数を目的変数とした重回帰分析ではPS,LDL-Cなどの因子(R2=0.205,p<0.001)が有意に寄与した.頸動脈の(101名の)プラーク病変の性状におけるhypoechoic,isoechoic,hyperechoic(calcified)およびheterogenous(mixed)lesionの割合はそれぞれ3.1%,20.8%,20.5%,55.6%であった.冠状動脈の(127名の)プラーク病変の性状におけるnoncalcified,calcifiedおよびmixed lesionの割合はそれぞれ35.2%,30.4%,34.4%であった.頸動脈および冠状動脈におけるプラーク病変の性状が一致した患者が24%に認められた.PSは総頸動脈IMTより冠状動脈病変を予想する検査方法として有用であった.また,PSは従来から知られている高脂血症などの危険因子とともに,糖尿病における冠状動脈硬化病変の独立した危険因子として重要であった.