抄録
症例は75歳,女性.64歳時に2型糖尿病と診断され経口糖尿病薬が開始となったが血糖コントロール不良のため2年後にはインスリン注射が導入された.インスリン導入5年後に抗GAD抗体が陽性化し,その後経年的に抗体価が上昇をつづけた.インスリン導入10年後に施行したグルカゴン負荷試験でインスリン依存状態を確認した.本症例は1型糖尿病疾患感受性遺伝子を有さず甲状腺自己抗体が陰性であることから,加齢·肥満·高血糖など環境因子が複合的に自己免疫に影響をおよぼしたと考えた.またインスリン注射導入後に抗GAD抗体が陽性化したことよりインスリン製剤が自己免疫に関与した可能性も推測された.