糖尿病
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症例報告
限局性脂肪肝が血糖コントロールにより著明に改善した1型糖尿病の1例
吉藤 歩比嘉 眞理子小林 結香山下 馨臼井 州樹一城 貴政大内 博美山根 隆廣井 直樹
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2010 年 53 巻 1 号 p. 24-29

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抄録
症例は糖尿病歴20年の62歳,女性.SU剤を内服中であったが,高血糖にて4年前にインスリン療法を導入.同時にBasedow病も指摘されメチマゾール10 mg内服中であった.スクリーニングの腹部CT scanにて肝内に多数の腫瘤を認め,肝腫瘍疑いにて精査入院.入院時検査では,HbA1c 9.2%,AST, ALTの高値を認めた.尿CPRは50.7 μg/日であったが,抗GAD抗体高値であり,自己免疫性1型糖尿病と診断した.甲状腺機能は正常範囲であった.肝内の腫瘤様病変は画像検査所見より肝限局性脂肪沈着(限局性脂肪肝)と診断した.インスリン療法に加え,ピオグリタゾンとメトホルミンの併用を開始し,食事管理を行ったところ血糖コントロールは改善し,体重も減少した.6カ月後に施行した腹部CT scanにて肝内の限局性脂肪沈着は消失した.限局性脂肪肝は比較的稀な疾患であり,かつ,血糖コントロール後に画像上脂肪沈着が著明に改善した稀な症例を経験した.
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© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
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