抄録
症例は,43歳男性.嘔吐後に上背部に激痛を自覚し,胸部X線写真,胸部CTにて,縦隔気腫·心膜気腫と診断された.採血にて,随時血糖657 mg/dl, HbA1c 7.7%と著明な高血糖を認め,動脈血液ガス分析ではPH 7.241,総ケトン体は14100 μmol/lと,糖尿病ケトアシドーシスを合併していた.膵島細胞抗体,GAD抗体,IA-2抗体は全て陰性,蓄尿中Cペプチドは3.1 μg/日,グルカゴン負荷試験では前値0.1 ng/ml, 6分値0.2 ng/mlと内因性インスリン分泌能の枯渇を認め,Hamman症候群を合併した劇症1型糖尿病と診断された.持続インスリン静注にて,血糖コントロールの安定を認め,縦隔気腫·心膜気腫は安静により,第16病日の胸部X線写真で消失が確認された.糖尿病ケトアシドーシス発症時に,稀に縦隔気腫を合併することがあり,注意深い対応が重要と考えられた.