抄録
症例1は41歳,男性.22歳時に1型糖尿病と診断された.症例2は71歳,女性.49歳時に1型糖尿病と診断された.2症例とも全身倦怠感を主訴に当院を救急受診し,来院時にケトアシドーシスを認めた.経過中に吐血を認め,原因精査目的に上部消化管内視鏡を施行したところ,頚部食道~食道胃接合部まで全周性に粘膜の黒変を認め,急性壊死性食道炎(通称黒色食道)と診断した.黒色食道は食道粘膜が全周性に壊死して生じる非常に稀な食道出血性疾患で,発症原因は未だ明らかになっていない.報告例の過半数に糖尿病の合併を認め,両者の間に強い関連性が示唆される.致死的な経過をたどるケースもあり,厳重なフォローを要する.