糖尿病
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症例報告
リネゾリドにリファンピシンとST合剤の併用投与が有効であった2型糖尿病に合併したMRSA腸腰筋膿瘍の1例
丹羽 啓之奥村 昇司
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2010 年 53 巻 3 号 p. 187-191

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抄録

症例は71歳,男性.61歳時に糖尿病と診断され食事療法と経口血糖降下薬によってHbA1C 6%台の血糖管理状態にあった.2007年7月30日頃から腰部痛・発熱が出現,当院を受診し,腸腰筋膿瘍と診断し抗菌療法とドレナージ・洗浄を行った.血液・膿部培養からメチシリン耐性ブドウ球菌(以下MRSA)が検出された.バンコマイシン(以下VCM),テイコプラニン(以下TEIC)を投与し解熱傾向を認めたが,途中で腎障害が出現し,リネゾリド(以下LZD)に変更,計4週間でLZDの投与を終了した.投与中止後,再び発熱・腰部痛が出現し,腸腰筋膿瘍の再燃,椎体炎併発と診断.LZDにリファンピシンとST合剤を併用し6週間投与の末,治癒に至った.糖尿病に合併したMRSA腸腰筋膿瘍に対してLZDにて治療を行ったという報告は稀少であるため文献的考察を加えて報告する.

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© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
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