抄録
症例は63歳女性.8歳頃から視力低下,18歳頃から感音性難聴があり,39歳頃から糖尿病を発症した.白血球mitochondria3423変異なし.入院3日前の朝から頭痛があり,呼名反応も鈍く,徐々に悪化した.来院時JCS 2桁,血圧122/74,血糖543 mg/dl,動脈血pH 7.258,運動麻痺・深部腱反射亢進はなかった.糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)として治療したが,意識障害が遷延,翌日のmagnetic resonance imaging(MRI)で左視床・両後頭葉等の白質にdiffusion weighted imageで等信号,apparent diffusion coefficientで高信号を示す病変を認めた.DKAの改善に伴い意識清明となりMRIの病変も退縮した.経過からDKAの治療中にreversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)を呈したと考えた.RPLSは意識障害,視覚異常等を呈し,画像上は脳浮腫が主に後部白質に出現,これらが治療で速やかに消退する特徴をもつ.DKAで意識障害が遷延する病態ではRPLSも考慮すべきである.