2011 年 54 巻 1 号 p. 27-33
同意を得られた390名に75g経口ブドウ糖負荷試験を実施しWHO(1998)およびJDS基準(1999)に従い耐糖能の型分類を行った.正常型のうち糖負荷1時間後の血糖値が180mg/dl以上の者は準境界型とした.糖負荷前および2時間後に採尿し,尿中ミオイノシトール(UMI:尿中クレアチニンで補正)を測定し,2hUMIと前値(0hUMI)を差引いた増加量であるΔUMIを指標とし,耐糖能低下者の検出力を比較・検討した.2hUMIとΔUMIは良い正相関を示し,両者のreceiver operating characteristic曲線下面積には有意差は認められなかった.2hUMIのカットオフ値は25mg/gCrが最適であり,感度74%,特異度73%であった(ΔUMIでは,カットオフ値10mg/gCrのとき感度74%,特異度80%).2hUMIの検出率は糖尿病型,耐糖能異常で,93.3,72.6%であった(ΔUMIでは91.1,72.6%).以上,ΔUMIと同様に,2hUMIを単独で用いて耐糖能低下者のスクリーニングが可能であった.