抄録
当院では2007年6月より,患者の心理状況を踏まえ,療養への取り組み姿勢からタイプ別に分類し,行動記録表への記入を支援する糖尿病教育プログラムを導入した.行動目標を自ら立てる本人主導型,医療従事者側に依存する他人主導型の2型に分け,退院後も介入を継続している.今回退院後半年間フォローした52名を対象に,患者の心理的負担度,退院後の行動変容の実行度と血糖コントロールとの関連について検討した.心理的負担感は全症例で軽減したが,他人主導型においてより軽減度は強かった.HbA1c(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467,2010))は全症例で有意に低下したが,HbA1c 6.5%未満達成は本人主導型で高率であった.以上より本人主導型はコントロールの中心が自分自身で,自律的行動が血糖コントロールに結びつくと認識しており,他人主導型は医療者との繋がりが心理的負担感を軽減しやすく,他者による支援が重要であると考えられた.