糖尿病
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54 巻 , 2 号
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原著
  • 大塚 章人, 久保 聡子, 深水 英昭, 斉藤 清子, 下村 彰宏, 千頭 寛子, 中村 正, 市原 紀久雄
    2011 年 54 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者における足関節上腕血圧比(ABI)と動脈硬化,腎機能の関連を検討した.対象は外来通院中の2型糖尿病患者510人(平均年齢66歳).ABIが0.90以下,0.91-1.00,1.01-1.10,1.11-1.20,1.21以上を示す患者の割合は8,10,32,38,13%であった.ABIが0.90以下の低下群では,ABIが1.01以上の正常3群に比べて,有意な動脈硬化性疾患合併率の上昇,年齢,糖尿病罹病期間,高血圧症合併率,脈圧の高値,腎症病期の進展,推算糸球体濾過量(eGFR)の低下が認められた.ABI低下群における動脈硬化性疾患合併率上昇とeGFR低下は,動脈硬化関連指標や腎症病期などの交絡因子で補正後も有意であった.一方,ABIが0.91-1.00の正常低値群でも,有意に動脈硬化性疾患合併率が上昇しeGFRが低下していたが,動脈硬化関連指標で補正後は有意差が消失した.ABIが低値を示す2型糖尿病患者では,動脈硬化リスクが上昇し腎機能が低下していることが示唆された.
  • 根本 昌実, 杉沢 勇人, 西村 理明, 田嶼 尚子, 宇都宮 一典
    2011 年 54 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    日本人成人1型糖尿病患者におけるハネムーン期発現に関与する臨床的因子を明らかにする目的で検討を行った.新規発症後のインスリン量が0.5単位/kg体重/日未満をハネムーン期と定義し,30症例(18~76歳,男:女=13:17)を,ハネムーン期を示す1型糖尿病(H群)と示さない1型糖尿病(NH群)に分類し,身体的及び検査所見を検討した.H群は19症例(63.3%)を占め,NH群と比較して尿中CPR高値(p=0.0022),LDL-コレステロール高値(p=0.01),自己免疫性甲状腺疾患の合併が多い(p=0.0002),退院時のインスリン必要量が少ない(p=0.004)特徴を認めた.発現までの期間は1.9±2.0ヶ月,持続期間は16.0±4.9ヶ月であった.ハネムーン期発現には残存膵インスリン分泌能,脂質代謝,自己免疫疾患合併の関与が示唆された.
症例報告
  • 岡川 浩人, 横幕 由喜代, 佐藤 喜祝, 有村 徹朗
    2011 年 54 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    J波増高の原因として知られる低体温症,高カリウム血症を合併した糖尿病性ケトアシドーシスの1例を経験した.症例は42歳男性.高血糖,意識障害,ケトアシドーシス,高カリウム血症,低体温,ショック状態で入院し,心電図にて著明なJ波の増高を認めた.翌日の心電図,CPKの上昇から非Q波梗塞の合併も示唆された.J波の増高は,低体温,高カリウム血症,アシドーシスの補正により改善した.本症例の著明なJ波増高は,低体温症,高カリウム血症,アシドーシスが複合的に関与した可能性が考えられた.
  • 三宅 敦子, 山口 実菜, 杉山 美帆, 神山 隆治, 泉山 肇, 入岡 隆, 水澤 英洋, 平田 結喜緒
    2011 年 54 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性.C型肝炎精査目的に当院を紹介受診した2日後に,発熱・意識障害で入院.初診時の随時血糖(92 mg/dl)・HbA1c(4.9%,以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467,2010))および入院時の随時血糖(85 mg/dl)は正常.入院時に高アミラーゼ血症(858 U/l)を認めた.第5病日に意識レベル低下のため検査したところ,著明な高血糖(890 mg/dl)および代謝性アシドーシスを認め,尿ケトンが陽性.糖尿病性ケトアシドーシスと診断,インスリン治療にて意識障害は改善した.内因性インスリン分泌の枯渇,および膵外分泌酵素の上昇を認め,膵島関連自己抗体はいずれも陰性.以上より劇症1型糖尿病と診断した.発症前後のペア血清で各種ウイルス抗体価を測定するも有意な上昇なく,発症の原因は特定できなかった.入院中に発症し,発症前後の臨床経過を観察しえた貴重な劇症1型糖尿病の症例であり,本症例とこれまで当施設,関連施設で経験した劇症1型糖尿病(11例)との臨床的特徴も合わせて比較検討した.
  • 西澤 麻依子, 杉山 美帆, 山口 実菜, 飯降 直男, 関澤 直子, 三原 正朋, 神山 隆治, 泉山 肇, 吉本 貴宣, 堀内 敏行, ...
    2011 年 54 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性.左副腎褐色細胞腫摘出術を施行し,術後ICU入室後に著明な低血糖(16 mg/dl)を認めた.ブドウ糖静注したが低血糖を繰り返し,ブドウ糖液持続静注により血糖は安定した.低血糖時(40 mg/dl)に高インスリン血症(29.4 μU/ml)を認めた.術後6日目より食事開始に伴いブドウ糖持続静注を漸減,中止したが,低血糖発作は認めなかった.褐色細胞腫術後に稀に低血糖を起こすことがあり,その機序としてカテコラミン分泌過剰によるインスリン分泌の抑制が,腫瘍摘出直後に解除され,インスリンの「反跳性分泌」が生じたと推定されている.特に褐色細胞腫でもアドレナリン優位分泌型の症例で術後低血糖を引き起こす可能性が示唆された.術後低血糖は腫瘍摘出後2~4時間で認めることが多いため,腫瘍摘出後は頻回に血糖モニターを行うことが重要である.
コメディカルコーナー・原著
  • 沼沢 玲子, 諸星 政治, 難波 春子, 福井 洋子, 山崎 香奈絵, 寺田 陽子, 宮崎 麗, 新井 孝子, 萩原 康二, 田上 幹樹
    2011 年 54 巻 2 号 p. 117-127
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    当院では2007年6月より,患者の心理状況を踏まえ,療養への取り組み姿勢からタイプ別に分類し,行動記録表への記入を支援する糖尿病教育プログラムを導入した.行動目標を自ら立てる本人主導型,医療従事者側に依存する他人主導型の2型に分け,退院後も介入を継続している.今回退院後半年間フォローした52名を対象に,患者の心理的負担度,退院後の行動変容の実行度と血糖コントロールとの関連について検討した.心理的負担感は全症例で軽減したが,他人主導型においてより軽減度は強かった.HbA1c(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467,2010))は全症例で有意に低下したが,HbA1c 6.5%未満達成は本人主導型で高率であった.以上より本人主導型はコントロールの中心が自分自身で,自律的行動が血糖コントロールに結びつくと認識しており,他人主導型は医療者との繋がりが心理的負担感を軽減しやすく,他者による支援が重要であると考えられた.
  • 赤尾 綾子, 郡山 暢之, 近藤 春香, 安楽 千鶴, 三反 陽子, 尾辻 真由美, 蓑部 町子, 森 加弥, 藤崎 夏子, 中村 由美子, ...
    2011 年 54 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/29
    ジャーナル フリー
    自己効力感を高めるアプローチが糖尿病患者の行動修正に有効であることが明らかにされているが,セルフケアの遂行という課題に特化した自己効力感の測定尺度が少ないことから,糖尿病セルフケア行動に関する自己効力感レベルを評価するための尺度(SESD)の作成を試みた.当センター外来通院中の糖尿病患者268名を対象として実施したSESDの解析結果から,Cronback α係数は0.81,平均点数は23.9±0.02点で,高齢者と女性で高値を示す傾向が認められた.SESDは,PAID及びHbA1c(JDS値)と有意な負の相関を示し(p=0.0001及びp=0.002),SESDの総点が高い程,感情負担度が低く血糖コントロールは良好となる傾向が明らかになった.SESDは,糖尿病患者の自己効力感レベルのスクリーニングのために,あるいは療養指導の方法と方向性を検討していく際の情報として,有用なツールとなる可能性が推察された.
編集者への手紙
地方会記録
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