糖尿病
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原著
足関節上腕血圧比が低値を示す2型糖尿病患者では動脈硬化リスクが上昇するとともに腎機能が低下している
大塚 章人久保 聡子深水 英昭斉藤 清子下村 彰宏千頭 寛子中村 正市原 紀久雄
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2011 年 54 巻 2 号 p. 91-97

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抄録
糖尿病患者における足関節上腕血圧比(ABI)と動脈硬化,腎機能の関連を検討した.対象は外来通院中の2型糖尿病患者510人(平均年齢66歳).ABIが0.90以下,0.91-1.00,1.01-1.10,1.11-1.20,1.21以上を示す患者の割合は8,10,32,38,13%であった.ABIが0.90以下の低下群では,ABIが1.01以上の正常3群に比べて,有意な動脈硬化性疾患合併率の上昇,年齢,糖尿病罹病期間,高血圧症合併率,脈圧の高値,腎症病期の進展,推算糸球体濾過量(eGFR)の低下が認められた.ABI低下群における動脈硬化性疾患合併率上昇とeGFR低下は,動脈硬化関連指標や腎症病期などの交絡因子で補正後も有意であった.一方,ABIが0.91-1.00の正常低値群でも,有意に動脈硬化性疾患合併率が上昇しeGFRが低下していたが,動脈硬化関連指標で補正後は有意差が消失した.ABIが低値を示す2型糖尿病患者では,動脈硬化リスクが上昇し腎機能が低下していることが示唆された.
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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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