2011 年 54 巻 5 号 p. 344-348
超速効型インスリン3回とNPHインスリン1回の強化インスリン療法を継続し,低血糖(70 mg/dl以下)を起こさない範囲でそれぞれのインスリンを最大量に調節されている成人日本人2型糖尿病患者103例を対象に,NPHインスリンを同単位,同タイミングで持効型溶解インスリンデテミルに切り替え,その臨床的有用性を一方向の前向き非対照観察研究において検証した.18カ月間プロトコールが継続されたのは81症例である.デテミルは作用パターンがフラットであることを考慮し,空腹時血糖値110 mg/dl以下を目標とし低血糖を起こさない範囲で調節したが,切り替え時の8単位(6-12単位)から12単位(8-19.5単位)まで増量することができた.HbA1cは切り替え9ヶ月目以降に有意に改善,改善はその後18カ月間にわたり持続した.デテミルを増量したにもかかわらず低血糖の頻度や体重の有意な増加もみられなかった.強化インスリン療法における基礎インスリンとしてのデテミルの長期にわたる有用性が明らかとなった.