糖尿病
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症例報告
糖尿病性ケトアシドーシスにより心停止を来し,蘇生後に小腸狭窄を合併した劇症1型糖尿病の1例
国枝 武重村山 正憲古賀 正一花立 史香林 慎山北 宜由安田 圭吾
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2011 年 54 巻 5 号 p. 356-360

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抄録
症例は21才,男性.2010年8月中旬より嘔吐,下痢が出現したため,脱水予防に清涼飲料水を1日6 l飲んでいた.3日後に応答が緩慢となりふらつきも強いことから来院.JCS I-3,血糖1639 mg/dl,尿ケトン強陽性であり糖尿病性ケトアシドーシスが疑われたが,その直後に外来にて突然心停止を来たした.速やかに心肺蘇生を施行し救命し得た.HbA1c 5.7%,尿中Cペプチドは感度以下,抗IA2抗体は陰性,抗GAD抗体は弱陽性ではあったが劇症1型糖尿病と診断した.その後,小腸イレウスを発症.腹部CTにて小腸狭窄を確認し,腹腔鏡下小腸切除術を施行した.本症例は劇症1型糖尿病発症に加え,ケトアシドーシスを経て高カリウム血症により心停止に至ったと推定される.小腸狭窄は心停止時の循環不全に伴う虚血性変化と推測されるが,側副血行が豊富な小腸の虚血は稀であり,一連の経過は興味深い.
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© 2011 一般社団法人 日本糖尿病学会
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