2011 年 54 巻 9 号 p. 724-726
日本栄養士会災害対策本部は,日本プライマリーケア連合学会災害支援チーム(Primary Care All Team:以下PCATと略す)と協働して,平成23年3月11日に発生した「東日本大震災」における,被災地の栄養問題の把握とその解決に対し積極的に取り組んできた.その中で糖尿病患者に関連のある栄養問題を中心に検討すると,避難所の食事提供の不備や支援物資の配送における問題,ライフラインの崩壊が及ぼす食事提供の問題,特に今回は長期化する避難生活の中で発生した偏食による糖尿病をはじめとする慢性疾患(高血圧,脂質異常症など)や褥瘡の悪化,慢性的ストレスによる食欲低下の問題,炊き出しの調整の不備による食事提供の問題などが確認され,一つ一つの問題点に対して支援活動を展開してきた.その結果,大規模災害時には栄養士による介入として,災害直後から長期に渡る糖尿病患者をはじめとする慢性疾患患者への支援活動の必要性が示唆されたので報告する.