東日本大震災において岩手県内陸(盛岡市)に位置する岩手医科大学病院は,ほとんど被害を受けなかったが,沿岸被災地域への支援と通常診療継続が責務となった.岩手県・岩手医大へ届いた支援薬剤の内,糖尿病治療薬はインスリン注射剤3種,
α-グルコシダーゼ阻害薬2種,ビグアナイド薬1種,チアゾリジン誘導体1種,SU薬1種,速効型インスリン分泌薬1種であった.支援チーム内での薬剤師は,服用薬の確定,調剤,服薬指導を行い,服用薬確定にはお薬手帳や写真付のインスリン製剤一覧が有用であった.また,「継続して使用が必要な医薬品一覧」の作成が要望され,ハイリスク薬を中心に作成したが,避難所生活では鎮咳薬・前立腺治療薬など直接生命に関連しないような薬剤も重要であると考えられた.糖尿病患者への対応としては,被災時の環境は通常の環境と大きく違うので,患者それぞれへの個別の対応が必要で,各職種の統一した指導ために医療チーム内の連携が重要であった.
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