糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物治療)
2型糖尿病患者におけるDPP-4阻害薬を用いた多剤併用療法の実施状況と短期治療成績(JDDM-29)
紅林 昌吾長尾 綾子大月 道夫金塚 東川井 紘一平尾 紘一小林 正糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)
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2012 年 55 巻 10 号 p. 761-767

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抄録

Dipeptidyl peptidase(以下DPP)-4阻害薬が登場したが,本薬を含む多剤併用療法の実態は未だ明らかではない.我々は本薬の開始状況を調査し,DPP-4阻害薬を追加した多剤併用療法の有効性について検討した.対象は本薬開始6ヶ月間の経過観察が行われた2型糖尿病患者1656例で,DPP-4阻害薬を追加した多剤併用症例が61.5 %を占めた.併用薬種類数は1/2/3剤が31/50/18 %で,スルホニル尿素薬とビグアナイド薬との3剤併用が最多であった.経口薬の前治療が有る併用群全体では,6ヶ月後HbA1c値は7.75±1.00 %から6.96±0.92 %まで改善した(p<0.01).併用薬の種類数(1-3)別と頻用された組み合わせ別に6か月間のHbA1c低下幅を比較すると,有意差を認めなかった.本薬を追加する併用療法において,併用薬種類数や薬剤組み合わせによらず,ほぼ同等の血糖コントロールの改善が得られた.短期間の治療成績に基づいた後ろ向き研究であるが,DPP-4阻害薬を含む多剤併用療法の有用性が観察された.

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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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