糖尿病
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症例報告
消化管穿孔と鑑別が困難であった気腫性膀胱炎の1例
西野 雅之那須 鉄史中尾 隆太郎増井 由毅松本 幸山本 康久玉置 真也庄野 剛史辰田 仁美細 隆信南條 輝志男
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2012 年 55 巻 10 号 p. 798-802

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抄録

82歳男性.左大腿骨頚部骨折受傷時に2型糖尿病を指摘,以後当院内科にて2型糖尿病で通院中であった.7月初旬ごろから37度程度の微熱と食欲低下を認め,市販の消化剤を内服しても症状の改善がなく,7月17日朝から突然嘔吐を繰り返したため当院救急受診となった.腹部CT検査にて小腸ガスの貯留,血液検査にて炎症反応,血糖値上昇を認めたため,イレウスの診断にて入院.翌日,下腹部痛の増悪を認め腹部CT検査にて骨盤腔内遊離ガス様所見を認め,消化管穿孔を疑い試験開腹術を施行した.手術所見では消化管穿孔は認めず,膀胱壁の握雪感,浮腫状変化を認めた.膀胱鏡検査で粘膜下に気泡の貯留を認め気腫性膀胱炎と診断.尿道カテーテル挿入,抗生剤投与,絶食のうえ血糖コントロールはインスリンで行った.炎症反応の軽快,膀胱壁のガス像も消失し退院となった.今回われわれは消化管穿孔と鑑別が困難であった気腫性膀胱炎の1例を経験したので報告する.

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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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