糖尿病
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症例報告
治療経過中に生じた血糖値不安定に対してCGMが有用であったインスリン抗体陽性糖尿病の1例
福島 徹原田 範雄佐々木 真弓田中 大祐濱崎 暁洋長嶋 一昭八幡 三喜男稲垣 暢也
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2012 年 55 巻 12 号 p. 966-972

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抄録

59歳男性.54歳時に糖尿病と診断され,56歳時にボグリボースおよびナテグリニドによる肝機能障害出現を契機にインスリン導入となった.58歳時に早朝の低血糖および日中の高血糖を繰り返すため当院入院・精査により,血糖値不安定の原因として低親和性高結合容量インスリン自己抗体の関与が示唆された.インスリンリスプロ朝昼食前2回注射と就寝前の補食により血糖値改善を認めたが,2010年3月(59歳)頃から再び日中に高血糖を認め再入院となった.初回入院時に比べインスリン抗体価とインスリン分泌能の低下を認めた.持続血糖モニター(continuous glucose monitoring:CGM)の結果から,各食前インスリンリスプロの3回注射と就寝前の中間型インスリン注射の追加を行い,再び血糖値改善を認めた.インスリン抗体陽性糖尿病の治療観察中に生じた血糖不安定性の把握にCGMが有用であった症例を経験したので報告する.

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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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