糖尿病
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症例報告
妊娠初期に急性膵炎が先行して発症した劇症1型糖尿病の1例
中島 進介高橋 哲也田中 裕子西本 祐希中東 由佳大野 恭太喜多 哲也田守 義和
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2012 年 55 巻 12 号 p. 987-992

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抄録
症例は38歳女性.2011年7月15日から上腹部痛が出現したため7月20日に前院を受診し急性膵炎の診断で入院となった.この時,血糖値は92 mg/dlであった.急性膵炎は速やかに改善した.7月26日から嘔気,全身倦怠感が出現し,妊娠5週と診断されるも翌日に流産となった.嘔気,全身倦怠感は持続していたが,膵炎が軽快したため7月29日に前院を退院となる.翌日から頻回の嘔吐が出現し,7月31日に当院に救急搬送され,血糖498 mg/dl,アシドーシス,尿ケトン強陽性を認め糖尿病性ケトアシドーシスで入院となった.入院時HbA1cは6.0 %(NGSP値)で,尿中および血清CPRが低値であったことから劇症1型糖尿病と診断した.劇症1型糖尿病の発症には急性膵炎や妊娠との関連が報告されているが,本例は妊娠第5週に,急性膵炎の症状が高血糖の出現より10日以上先行して発症した興味深い劇症1型糖尿病の症例である.
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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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