2012 年 55 巻 6 号 p. 380-385
糖尿病治療の根幹である食事療法は,一般的にカロリー制限で指導されることが多いが,患者にはストレスが強く,そのコンプライアンスが問題となる.そこで,血糖値の上昇を最小限に抑えながら食事のQOLを向上させるための甘味品として,低糖質ケーキに着目した.今回は糖尿病患者で検討する前段階として,健常者を対象として低糖質ケーキが糖脂質指標に与える影響を同等カロリーの通常ケーキと比較した.低糖質ケーキでは通常ケーキと比較して食後の血糖値上昇が抑制され,インスリンの分泌刺激は弱かった.また,低糖質ケーキは中性脂肪や遊離脂肪酸に悪影響を与えず,一方で食後の満足度は通常ケーキと同等であった.今後糖尿病患者を対象にした検討においても低糖質ケーキの有望な結果が期待される.