抄録
特定健康診査でメタボリックシンドローム予備軍と評価された中高年男性を対象に夕食を分割摂取する指導を行った.対象者は全員が夕食を夜間に過食して朝食を欠食する習慣をもち,内臓脂肪蓄積型肥満で全員に脂肪肝が認められた.これを分割食群とコントロール群に分けて8週間の介入指導を行った.分割食群では夕食の一部(200 kcal分)を分割して夕刻19時に摂取し,その分のエネルギーを夜間の夕食で減食するよう求めた.指導後の両群の栄養摂取行動の変化と介入による効果を身体計測値,血圧,生化学的指標,さらに脂肪肝の程度について検討した.分割食群では夕食過食が改善して,夜間の摂取エネルギー量を中心に1日の摂取量が減少し,体重,腹囲,BMIも減少した.また,収縮期血圧,血清中性脂肪,脂肪肝が有意に改善し,血中アディポネクチン濃度も改善傾向を示した.コントロール群ではこのような改善傾向は見られず,肥満と肥満関連諸症の管理に対する分割食の有用性が示唆された.