2013 年 56 巻 5 号 p. 314-318
症例は36歳,女性.2006年(33歳)頃から顔貌の変化を自覚した.2008年12月(35歳)頃から口渇感が出現するも放置した.2009年1月(36歳)に37.3度の発熱,嘔吐及び心窩部痛が出現した.翌日に当院を受診した際に,血糖値645 mg/dl,アニオンギャップ(31.2 mEq/l)の増大を伴う代謝性アシドーシス(pH 7.144,HCO3- 3.8 mmol/l,PCO2 11.4 mmHg),尿ケトン体3+を認め,糖尿病ケトアシドーシスと診断した.先端巨大症様顔貌であり,頭部CTにてトルコ鞍内に最大径4 cmの高吸収域を示す境界明瞭な腫瘍像を認め,GH 260 ng/ml及びIGF-1 1047 ng/mlと高値であることから先端巨大症と診断した.第6病日に突然の視力障害及び頭痛が生じ,下垂体卒中の診断で緊急手術を実施した.糖尿病ケトアシドーシスで発症し先端巨大症と診断された症例の報告は少なく,さらに下垂体卒中を併発した非常に稀な症例であった.