2013 年 56 巻 8 号 p. 543-550
大阪府豊能圏域において保険薬局に院外処方箋を持参した糖尿病患者を対象に糖尿病診療実態を調査した.アンケートを回収できた1,026名の,平均年齢は66.9歳,男女比は女性が36.6 %,平均通院期間は約10年,平均HbA1c値は7.2 %であった.血糖コントロール優または良の範囲にある患者は31 %であり,不可の割合は12.8 %であった.また,9.8 %がHbA1c値を把握していなかった.さらに,32.1 %が眼科を受診しておらず,糖尿病連携手帳所持率は15.6 %にとどまっていた.多変量解析の結果,HbA1c値(高値)と相関する項目は,年齢(若年),性別(女性)および通院期間(長期)であり,眼科定期受診と相関する項目は,年齢(高齢),性別(女性),通院期間(長期),糖尿病入院歴および連携手帳所持であった.連携手帳所持者では,そのほとんどが,HbA1c値を把握し,また眼科を定期受診しており,望ましい療養行動につながっていた.今後,糖尿病連携手帳のさらなる普及とともに,地域での多診療科・多職種の密接な連携をさらに推進することが必要であると考えられる.