糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
診断・治療(食事・運動・薬物)
2型糖尿病における短期強化インスリン療法による糖毒性解除の評価―未治療患者と既治療患者の比較―
中島 弘二田邉 昭仁岡内 省三早川 尚雅久野 裕輝高田 景子元佐 慶子小西 由記羽井 佐裕子桶口 三香子萬納寺 聖仁矢部 博樹大本 明義三澤 眞人
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 56 巻 8 号 p. 551-559

詳細
抄録

HbA1c(NGSP)8.4 %以上の174名の2型糖尿病患者に9日間の短期強化インスリン療法(Short-Term Intensive Insulin Therapy以下STIIT)を行い糖毒性解除の解析をした.STIIT後ボグリボース・メトホルミンを基本薬とする未治療群74名・既治療群64名(以下未群・既群)の2年間の効果を比較した.STIITは血糖値,高感度CRP, HOMA-IR, HOMA-βを有意に改善した.STIIT前(以下前)HbA1cが前_血糖値に正相関し,前_HOMA-βおよび糖尿病罹病期間(以下罹病期間)に逆相関した.STIIT施行3ヶ月後のHbA1cは罹病期間に正相関し,患者本来の糖尿病状態を反映した.未群のほうがHbA1cは高いが6ヶ月後のHbA1c 6.9 %未満達成率は有意に高かった(未群66 %,既群30 %).多重ロジスティック回帰分析で未群・既群と罹病期間は独立してHbA1cの目標達成に貢献した.既群でコントロール不良な患者のなかにもβ細胞機能が温存された例もあった.コントロール不良患者では早期に糖毒性を解除しβ細胞に負担をかけない治療で糖毒性を再発させないことが大切である.

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top