2014 年 57 巻 4 号 p. 249-255
症例は79歳男性,2型糖尿病にて内服治療中であったが自己中断していた.入院10日前より頭部と両上肢をくねらせるような不随意運動が出現し持続するため当院入院となった.入院時,随時血糖308 mg/dl, HbA1c 12.6 %(NGSP値)でありインスリン治療が開始された.血糖改善後に不随意運動は改善し下記の画像所見を認めたため糖尿病性舞踏病と診断された.入院時のCTで両側被殻に高吸収域が認められ,その後MRIのT1強調画像で同部位に高信号域が認められた.MRIのsusceptibility-weighted imaging(SWI)では,両側被殻の外側に18ヶ月前のSWIでは認められなかった低信号域が認められた.CTの高吸収域は14日で消失し,T1強調画像の高信号域は3ヶ月後には低信号に変化したがSWIの低信号域は残存した.そのため陳旧性の被殻外側出血の存在下に,高血糖による反応性のアストロサイトが増加し糖尿病性舞踏病を発症したと推察した.SWIは微量の出血も鋭敏に検出でき糖尿病性舞踏病の病態解明に有用と考える.