2015 年 58 巻 4 号 p. 247-250
糖尿病患者における冠動脈病変は,病変長が長く,多枝病変,石灰化を伴うなど複雑病変を呈することが多いため,血行再建術が進歩した現在でも予後不良である.したがって病変が進行する前に診断し,治療を行うことが予後改善のために重要である.糖尿病を合併した冠動脈疾患患者はしばしば無症候性であるため積極的なスクリーニングが必要である.さらに糖尿病の前段階である耐糖能異常患者に冠動脈疾患を合併することも知られており,糖代謝の異常を認めた時点で冠動脈疾患のスクリーニングを行い,さらに食事・運動療法などの介入を行うことが糖尿病への進展ならびに冠動脈疾患の進行を予防するために重要である.本稿では糖尿病の重篤な合併症である冠動脈疾患の早期診断および進展予防につき概説する.