2015 年 58 巻 6 号 p. 413-418
症例は68歳男性.65歳時に2型糖尿病と診断され内服治療中であった.68歳時に随時血糖596 mg/dl, HbA1c 14.4 %を認め,入院しインスリンを導入した.混合型製剤1日2回投与にて血糖は安定し退院となるも,導入1ヶ月後より右上下肢の舞踏病様不随意運動が出現.頭部MRIでは左被殻T1強調画像で高信号域を認め,糖尿病性舞踏病と診断した.ハロペリドール2.25 mg/日を開始し,5日で不随意運動は消失した.その後の経過は良好で10ヶ月後にハロペリドールを中止したが再発を認めず.MRIの病変は発症後5ヶ月後には消失.その後も7年間の長期的なフォローアップを行っているが,臨床症状,MRI所見ともに再発を認めず.一般に糖尿病性舞踏病は高血糖に伴って発症する.本例のように比較的急速な血糖改善に伴って発症することは報告が少ないうえ,発病から7年間再発を認めず,5年半後の画像検査を確認した貴重な症例であると考え報告する.