2015 年 58 巻 8 号 p. 564-567
糖尿病自律神経障害に伴う胃排出障害は,不快な腹部症状をきたすだけでなく,血糖コントロール不安定化の要因ともなる.糖尿病に伴う胃排出低下には,副交感神経終末からのアセチルコリン分泌低下が関与していると推定される.そこで,糖尿病自律神経障害を有する糖尿病患者3例に経口アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるアコチアミド100 mgを1日3回食前に投与したところ,腹部症状の改善と呼気法による胃排出速度の促進が認められた.アコチアミドは糖尿病患者の胃排出障害の治療選択肢の一つとなりうると考えられる.