糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物)
SGLT2阻害薬とインスリン頻回注射併用例におけるインスリン総投与量および製剤別調節に関する検討
中井 一彰山田 耕司
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2017 年 60 巻 1 号 p. 10-17

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抄録

SGLT2阻害薬をインスリン療法と併用する場合,低血糖発現に注意しインスリンを減量することが推奨されている.我々は以前,併用を行った患者を後ろ向きに検討し,インスリン総投与量の平均15 %減量が有効で安全性も高く,持効型製剤の減量がHbA1cをより大きく低下させる結果を見出した.これを検証する目的でHbA1c 7 %以上の患者27名を,超速効型製剤のみ15 %減量し追加する群(速減量群),および持効型製剤のみ15 %減量する群(持減量群)に無作為に割り付け前向きに検討した.2か月後のHbA1cは速減量群で-0.3 %,持減量群で-0.5 %と両群とも有意に低下したが,有意な群間差は無く両製剤減量の治療効果への影響は同等であった.重篤な副作用は認められなかった.SGLT2阻害薬併用時のインスリン総投与量15 %減量は有効で安全性が高く,製剤別調節は特別に考慮しなくてもよいと考えた.

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© 2017 一般社団法人 日本糖尿病学会
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