2017 年 60 巻 12 号 p. 820-825
【症例】28歳女性【現病歴】X-11年(17歳)時にA病院で2型糖尿病と診断され内服加療を受けたが自己中断した.X-10年(18歳)からB病院でインスリン療法となったが,自己中断した.X年10月にB病院産婦人科より妊娠7週で当科に紹介受診,糖尿病合併妊娠の血糖管理・合併症評価目的に緊急入院となった.【経過】HbA1c 14.1 %,右眼眼底に増殖網膜症と右眼の黄斑浮腫をみとめた.インスリン頻回注射で血糖コントロールを行った.妊娠経過に伴い右眼の黄斑症が進行し,視力低下を認めた.妊娠11週1日に人工妊娠中絶手術を施行,黄斑浮腫の急激な進行は落ち着き,視力を保つことができた.【結語】2型糖尿病合併妊娠の経過中に網膜症の経過を詳しく観察できた症例を経験した.