2017 年 60 巻 2 号 p. 83-90
遺伝性鉄芽球性貧血にて加療中,続発性ヘモクロマトーシスによる二次性糖尿病を発症した兄弟例を経験した.兄は69歳男性.63歳で糖尿病を発症し,その5年後インスリン導入となる.インスリン導入時尿中CPR 257 μg/dayとインスリン過分泌を認めた.約1年後に血糖コントロールが悪化し再入院.尿中CPR 15.2 μg/dayへと低下し,CT上膵萎縮を認めた.弟は61歳男性.幼少期より高度の貧血を認め頻回の輸血を要した.続発性ヘモクロマトーシスによる肝硬変,肝細胞癌,左室拡張不全を発症.54歳時に糖尿病を指摘されインスリン導入となり,61歳時にはインスリン分泌不全が確認された.遺伝性鉄芽球性貧血はX連鎖性伴性劣性遺伝様式の稀な遺伝性貧血である.兄弟共にインスリン依存状態に陥ったが,兄はインスリン抵抗性糖尿病から短期間でインスリン分泌不全に陥ったと推察された.