糖尿病
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60 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
疫学
  • 税所 芳史, 池上 翔梧, 伊藤 裕
    2017 年 60 巻 2 号 p. 57-64
    発行日: 2017/02/20
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    背景:2013年に改訂された血糖コントロール目標では個々の患者に合わせたHbA1c目標値を用いることが推奨された.目的と方法:2型糖尿病患者389名を無作為に抽出し,個別化目標HbA1cによる目標達成率およびその達成に関わる因子について検討した.結果:目標HbA1cは227例(58 %)で「7 %未満」,162例(42 %)で「8 %未満」とされた.その結果,HbA1c 7 %未満で定義した目標達成率は55 %であったが,個別化目標HbA1c達成率は69 %となった.個別化HbA1c目標値未達成群では達成群に比べ,BMIが大きくCペプチドインデックスが低値であった.結論:個別化目標HbA1cによる目標達成率は,HbA1c 7 %未満で定義した目標達成率よりも約15 %増加した.肥満の存在とインスリン分泌能の低下は個別化目標HbA1cの達成を妨げる因子であると思われた.

患者心理・行動科学
  • 向井 潤一, 金森 晃, 平塚 優加, 島田 佳織, 尾鳥 勝也, 厚田 幸一郎
    2017 年 60 巻 2 号 p. 65-74
    発行日: 2017/02/20
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    本邦では,糖尿病患者が特定保健用食品を使用する要因について十分検討されていない.糖尿病患者の代替療法の実態と特定保健用食品の使用要因を明らかにするため糖尿病専門クリニックでアンケート調査に基づく横断研究を実施した.2014年12月からの2ヶ月間,かなもり内科を受診した糖尿病患者1500名を対象とした.代替療法の経験者は614名で,その内訳は「特定保健用食品」248名が最も多かった.糖尿病型に分類した多変量ロジスティック解析の結果,2型糖尿病患者では,女性および加齢が特定保健用食品の使用経験率の減少因子となった.1型糖尿病患者では,特定保健用食品と臨床指標に関連はなかった.代替療法の使用は糖尿病患者に普及しており,特定保健用食品の使用には複数の因子が関連することが示唆された.日常診療では,医療従事者はこれら因子が関連する糖尿病患者の背景には特定保健用食品の使用があることを考慮する必要がある.

症例報告
  • 足達 崇, 玉井 秀一, 當時久保 正之, 中野 優子, 赤澤 昭一, 小野 研, 徳永 藏
    2017 年 60 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2017/02/20
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    65歳,男性.2007年に糖尿病を指摘(HbA1c 9.8 %).2011年頃から倦怠感・ふらつき・体重減少(10 kg)を認めた.2012年2月,両顎下部に硬い無痛性の腫瘤を自覚し,増大傾向にあった.2014年6月,HbA1c 11.6 %とコントロールが悪化し,当院入院となった.超音波検査において両側顎下腺および舌下腺の腫瘤を認めた.また造影CT検査において膵体部のびまん性腫大・膵管不整像を認め,両側肺門部・縦隔リンパ節腫大及び腹部大動脈周囲の後腹膜にも腫瘤を認めた.血清IgG4が999 mg/dLと高値を示し,顎下腺の病理所見では著しい線維化・腺房消失を示し,リンパ球・形質細胞の侵潤を認め,慢性唾液腺炎の像を呈した.IgG4免役染色ではIgG陽性形質細胞に占めるIgG4陽性形質細胞の割合は79.8 %を示し,IgG4関連疾患と診断した.ステロイド治療により,血清IgG4の著明な低下と腫瘤の縮小効果を認めた.インスリン強化療法により,血糖コントロールを行い,ステロイド治療に際しては,インスリンを増量した.食事負荷試験におけるC-peptideの推移を検討した結果,食前,食後のC-peptideの上昇が認められた.IgG4関連疾患においてステロイドおよびインスリンで適切な治療を行う事により,インスリン分泌能の改善が見られた1症例を報告した.

  • 加納 麻弓子, 川口 頌平, 山川 文子, 林 正幸
    2017 年 60 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2017/02/20
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    遺伝性鉄芽球性貧血にて加療中,続発性ヘモクロマトーシスによる二次性糖尿病を発症した兄弟例を経験した.兄は69歳男性.63歳で糖尿病を発症し,その5年後インスリン導入となる.インスリン導入時尿中CPR 257 μg/dayとインスリン過分泌を認めた.約1年後に血糖コントロールが悪化し再入院.尿中CPR 15.2 μg/dayへと低下し,CT上膵萎縮を認めた.弟は61歳男性.幼少期より高度の貧血を認め頻回の輸血を要した.続発性ヘモクロマトーシスによる肝硬変,肝細胞癌,左室拡張不全を発症.54歳時に糖尿病を指摘されインスリン導入となり,61歳時にはインスリン分泌不全が確認された.遺伝性鉄芽球性貧血はX連鎖性伴性劣性遺伝様式の稀な遺伝性貧血である.兄弟共にインスリン依存状態に陥ったが,兄はインスリン抵抗性糖尿病から短期間でインスリン分泌不全に陥ったと推察された.

  • 正木 嗣人, 市川 雷師, 小川 顕史, 鎌田 裕二, 高野 幸路, 七里 眞義
    2017 年 60 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2017/02/20
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は25歳の女性.2006年4月より両下腿の筋痙攣を自覚.5月には口渇・多飲・多尿が出現し糖尿病ケトーシスの診断でインスリン療法を開始.GAD抗体3.1 U/mL,尿中CPR 8.3 μg/日であり発症様式とインスリン分泌の低下から1型糖尿病と診断.その後も筋痙攣を認め2012年には筋破壊を伴う有痛性筋痙攣が出現した.低身長・痩せ型,糖尿病の母系遺伝,両側感音難聴,乳酸値持続高値,大脳基底核の石灰化を認めミトコンドリア遺伝子異常が疑われた.末梢静脈血白血球のmtDNA 3243A→G変異が検出されミトコンドリア病と診断した.本例では神経・筋症状の発症経過は糖尿病多発神経障害として非典型的でありミトコンドリア病に伴う症状と考えられた.本疾患はインスリン分泌低下を来すこともあり,1型糖尿病として経過を見られる例もあるが,GAD抗体が陽性である症例の報告は少ない.

  • 中村 秀俊, 岩佐 一生, 寺井 健太郎, 伊達 政道, 呉 美枝, 北岡 治子
    2017 年 60 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2017/02/20
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は78歳男性.X-18年に糖尿病と診断され経口血糖降下薬開始.X-4年10月よりメトホルミン750 mgより開始したところ,X年6月頃よりHb 11.5 g/dL,MCV 109 fLと大球性貧血を認めた.同年11月,ビタミンB12 50 pg/mL未満と低値を示し,メトホルミン投与によるビタミンB12欠乏に基づく巨赤芽球性貧血と診断し,メトホルミン中止およびメコバラミン投与により速やかに改善した.メトホルミンによるビタミンB12欠乏の原因として,回腸におけるビタミンB12-内因子複合体のカルシウム依存的吸収の阻害作用などが報告されている.昨今ビグアナイド薬は,2型糖尿病治療において多用されているが,投与開始後遅発性にかつ徐々に進行する大球性貧血をきたす例もあることより,特に高用量を投与する場合は長期にわたり血液像を観察する必要があると考える.

地方会記録
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