糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
診断・治療(食事・運動・薬物)
75歳以上の高齢2型糖尿病患者におけるリナグリプチンの効果と肝腎機能,脂質代謝への影響―75歳未満患者との比較及び腎機能低下例での検討―
木田 真美吉越 仁美小西 秀知内海 さやか佐藤 修一小泉 勝
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 60 巻 8 号 p. 540-547

詳細
抄録

2型糖尿病患者は年々増加傾向で,加齢に伴い種々の臓器障害を合併する.腎機能障害が高率にみられる高齢者では,薬剤の選択・用量調整が重症低血糖回避のために必要となる.汎用されているDPP-4阻害薬の中で,胆汁排泄型リナグリプチンを75歳以上の39例に,新規・上乗せあるいはシタグリプチン,ビルダグリプチン常用量からの切り替え投与を行い,血糖及び肝腎機能,脂質の変動を観察した.75歳未満75例と比較すると,6か月後の血糖,HbA1cが新規および切り替え両群で有意に改善し,全体の改善度も高かった.Crea>1.0 mg/dLの腎機能障害例でもHbA1cは有意に改善し,肝腎機能悪化や脂質代謝異常,低血糖,体重増加その他の副作用もなかった.高齢2型糖尿病患者において,腎機能障害に関わらず,リナグリプチンは単一用量で安全に使用でき,有用な薬剤と考えられた.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top