2019 年 62 巻 2 号 p. 76-83
インスリン治療中の糖尿病患者が繰り返し同一部位に注射を行うことで皮下腫瘤が形成される.看護師が視触診に加え超音波検査診断装置を用い注射部位の皮下変化の有無を確認し指導介入を行った.59症例中,13例(22.0 %)において皮下腫瘤が触知され,超音波検査でも皮下変化が確認された(以下“触知群”).皮下腫瘤は触知されず超音波検査で皮下変化を有するものは11例(18.6 %,以下“非触知群”)であった.皮下腫瘤は触知されず皮下変化も無いものは35例(59.3 %,以下“陰性群”)であった.“非触知群”と“陰性群”にHbA1cと総インスリン量の有意差はなかった.インスリン以外の血糖降下薬に変更がない47例で指導介入6ヶ月後のHbA1cが“触知群”(10例)と“非触知群”(10例)で有意に低下した.看護師が自己注射指導時に超音波検査を用いることは皮下変化の早期発見と血糖コントロールの改善に有用であった.