2019 年 62 巻 8 号 p. 477-486
低炭水化物食の有効性について血清脂質プロファイルへの影響と患者の心理面から検討.対象は2型糖尿病患者30名.エネルギーコントロール食と低炭水化物食の無作為割付けクロスオーバー比較試験を行った.エネルギー量は両群とも標準体重×身体活動量(25~30 kcal/kg)とし,低炭水化物食群のPFC比率を30:30:40とした.結果,エネルギー摂取量は両群とも差はなく,炭水化物摂取量は低炭水化物食群で炭水化物エネルギー比45.6 %と有意に少なく,脂質摂取量は有意に多かった.HbA1cの変化量は低炭水化物食群でより大きく改善,RLP-C,RLP-TG等の血清脂質,またGSES,PAID等に差はなかった.以上から炭水化物エネルギー比率45.6 %という緩やかな低炭水化物食であっても血糖コントロールが改善,血清脂質プロファイルへの影響もなく,心理的負担感の少ない,患者が実践できる治療法である可能性が示唆された.