糖尿病
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症例報告
20年以上放置していた2型糖尿病患者に合併した眼虚血症候群の1例
藤田 洋平大本 真由畑 雅久藤川 慧清水 彩洋子藤木 典隆内堀 恭孝馬屋原 豊
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2019 年 62 巻 8 号 p. 487-492

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抄録

症例は67歳の男性.40歳時に健康診断で高血糖を指摘されたが,医療機関を受診していなかった.左眼の視力低下と眼痛を主訴として当院眼科を受診し,左眼の虹彩ルベオーシスと左右差のある糖尿病網膜症を指摘された.頚動脈超音波検査で左内頚動脈の閉塞が認められ,左内頚動脈閉塞症による眼虚血症候群と診断された.血糖値232 mg/dL,HbA1c 9.8 %と未治療の2型糖尿病がみられたため,当科へ入院してインスリン療法を導入するとともに高血圧症や脂質異常症,喫煙についても介入した.左内頚動脈閉塞症に対して,脳神経外科で浅側頭動脈―中大脳動脈吻合術を施行した.眼動脈への血流は改善したものの,血管新生緑内障や過熟白内障の合併で左眼は失明した.眼虚血症候群は糖尿病網膜症や網膜中心静脈閉塞症との鑑別に苦慮することが多いが,左右差のある糖尿病網膜症や一過性の視力低下を認める糖尿病患者では本疾患を考慮する必要がある.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
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