糖尿病
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症例報告
免疫グロブリン製剤の投与後に一過性の抗GAD抗体陽性を示した2型糖尿病の2例
高橋 順子本多 寛之浜原 潤梶谷 展生安藤 晋一郎出口 章子出口 健太郎
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キーワード: 抗GAD抗体
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2020 年 63 巻 11 号 p. 770-775

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抄録

免疫グロブリン製剤を使用して一過性に抗GAD抗体陽性を示した糖尿病症例を2例経験した.症例1は76歳男性,慢性炎症性脱髄性多発神経炎に対し使用し,投与開始11日後にELISA法で測定した抗GAD抗体は33.7 U/mLを示した.投与471日後には陰性化し,再投与開始後11日目に11.4 U/mLと上昇したが36日後に陰性化した.症例2は33歳男性,ギラン・バレー症候群に対し使用し,投与直前の抗GAD抗体は陰性であったが投与開始3日後に抗GAD抗体32.4 U/mLと高値を示した.投与後21日目に再投与,同日の抗GAD抗体は8.5 U/mLと低下し,再投与後127日目には陰性化していた.ELISA法においては免疫グロブリン製剤投与により一時的に抗GAD抗体が陽性を示す可能性があり,糖尿病の病型分類時には抗GAD抗体の測定前に免疫グロブリン製剤が投与されていたかの確認が必要であると考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本糖尿病学会
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