2021 年 64 巻 6 号 p. 350-359
糖尿病治療は,本来プライマリー医療に属するものであり,治療標準化は,非専門地域実地医家(GP)の診療水準向上や糖尿病専門医(DT)との連携を行う上で極めて重要である.鹿児島県糖尿病対策推進会議では,県内4ヵ所の2次医療圏において,GPとスタッフ向けに連続5回のDTによる技術移転講習会を実施し,アウトカムをその地区のHbA1cの変化とアンケート結果から検証した.方法上の問題から,HbA1cの改善を講習会の効果とすることは出来なかった.一方,アンケート結果では,“糖尿病診療に対する関心が高まった”との回答と共に,“薬物療法が変化した”との回答が多く,講習会の中で提示した経口薬使用フローチャート(「SDMカスタマイズド鹿児島」)の意義が考えられた.このフローチャートは,その後鹿児島県の糖尿病診療上の問題点に対応すべく改訂を繰り返し,現在,鹿児島市の病診連携においても広く用いられている.