脂肪肝を示唆する検査値(AST値<ALT値)がどのような2型糖尿病患者にどの程度存在し,糖尿病薬治療がどのように影響するかを糖尿病データマネジメント研究会会員施設のCoDiC-MSへの入力データを用い調査した.対象者12,710名の37.5 %がALT値優位であり,AST優位患者と比較し,男性の割合が高く,年齢が若く,BMI・HbA1c・血清中性脂肪・血清C-ペプチド・HOMA-IRが高値であり,FIB-4 indexが低く,糖尿病合併症合併率は低かった.各種糖尿病治療薬使用開始1年後,チアゾリジン薬とSGLT2阻害薬は著明なALT値の低下をきたし,ALT優位患者(6,003名)の24.9 %がALT値優位でなくなった.このAST値優位への変換には,女性,高年齢,長期糖尿病罹病期間,高BMI,薬剤投与前の高γ-GT・FIB-4 index,低AST・HSIであることが有意に関与していた.