糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物)
血清AST値<ALT値を示した2型糖尿病患者の臨床像と糖尿病治療薬使用時の変化(JDDM69)
川井 紘一本橋 しのぶ山﨑 勝也栗原 義夫高村 宏調 進一郎屋宜 宣治石垣 泰前川 聡糖尿病データマネジメント研究会
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2022 年 65 巻 12 号 p. 641-650

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抄録

脂肪肝を示唆する検査値(AST値<ALT値)がどのような2型糖尿病患者にどの程度存在し,糖尿病薬治療がどのように影響するかを糖尿病データマネジメント研究会会員施設のCoDiC-MSへの入力データを用い調査した.対象者12,710名の37.5 %がALT値優位であり,AST優位患者と比較し,男性の割合が高く,年齢が若く,BMI・HbA1c・血清中性脂肪・血清C-ペプチド・HOMA-IRが高値であり,FIB-4 indexが低く,糖尿病合併症合併率は低かった.各種糖尿病治療薬使用開始1年後,チアゾリジン薬とSGLT2阻害薬は著明なALT値の低下をきたし,ALT優位患者(6,003名)の24.9 %がALT値優位でなくなった.このAST値優位への変換には,女性,高年齢,長期糖尿病罹病期間,高BMI,薬剤投与前の高γ-GT・FIB-4 index,低AST・HSIであることが有意に関与していた.

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© 2022 一般社団法人 日本糖尿病学会
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