症例は23歳の男性.BMI 29.0 kg/m2.X年6月,体重減少と高血糖症状を契機に受診,血糖値496 mg/dL,HbA1c 15.8 %,尿ケトン体(3+),静脈血pH 7.15より,糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断した.膵島関連自己抗体は陰性,CPR 0.37 ng/mLと低下を認めた.退院後よりインスリン分泌は改善し,DKA発症5ヶ月後から10ヶ月間インスリン投与中止可能となった.しかし,X+1年9月,誘因なく糖尿病性ケトーシス(DK)を発症した.以上の経過よりKetosis-prone diabetesと診断した.グルカゴンおよびアルギニン負荷試験から,本症例のインスリン分泌はDKA・DK直後にインスリン依存状態まで低下し,6ヶ月後にはグルカゴン分泌増加を伴ってインスリン投与中止可能な状態まで改善した.