2023 年 66 巻 7 号 p. 513-520
インスリン投与中の1型糖尿病(T1DM),2型糖尿病(T2DM)の治療にて健康情報記録(PHR)アプリ「シンクヘルス」利用患者のHbA1c低下効果を後方視的に検討した.シンクヘルスを利用した49例(T1DM/T2DM:35例/14例)を対象とし,利用開始後4カ月間のHbA1c,体重,Body Mass Index(BMI),インスリン投与量の変化を評価した.また,利用頻度別(15回/月以上:高頻度利用群,15回/月未満:低頻度利用群)に評価した.全体では,HbA1cは開始時7.65±0.83 %から4カ月後7.50±0.87 %へ有意に低下した.高頻度利用群では最大0.28 %有意に低下し,利用開始後4カ月間を通して有意な低下を維持したが,インスリン投与量や体重,BMIなどは変化を認めなかった.糖尿病の病型に依らずインスリン投与中の患者でPHRの利用によりHbA1cが改善することが示唆された.