2023 年 66 巻 7 号 p. 587-591
日本糖尿病学会「1型糖尿病における新病態の探索的検討委員会」において,緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準の改訂を行った.必須項目は,1)経過のどこかの時点で膵島関連自己抗体が陽性であること,2)原則として,糖尿病の診断時,ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく,ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならないこと,3)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し,糖尿病の診断後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり,最終観察時点で内因性インスリン欠乏状態(空腹時血清Cペプチド<0.6 ng/mL)であること,の3項目で,これら全てを満たす症例を「緩徐進行1型糖尿病(definite)」と診断する.1)および2)のみを満たす場合は,インスリン非依存状態の糖尿病であり,「緩徐進行1型糖尿病(probable)」とした.