2024 年 67 巻 1 号 p. 13-20
運動指導は,コミュニケーション形態から「対面型」と「遠隔型」に大別することができる.本研究では,スマートフォンによる遠隔運動指導が高齢2型糖尿病患者のHbA1c値やbody mass index(BMI),身体機能,身体活動量に与える影響を短期的(介入期間中)及び長期的(介入終了から12か月経過時点)に検討した.広島県の中山間地域の医療機関に通院中の高齢2型糖尿病患者20人を対象とした.身体機能を測定し,スマートフォンアプリと電話を用いて,運動指導を毎月1回,6か月間実施し,介入期間中と介入終了から12か月経過時点の調査を行った.短期的には男女ともに身体活動量の有意な増加が認められたが,長期的には元々運動習慣のない女性で身体活動量が低下していた.スマートフォンを活用した現行の遠隔運動指導は短期的には有用性が確認されたが,長期的には高齢女性において運動定着に課題があると思われる.