2024 年 67 巻 11 号 p. 467-475
医療者用の糖尿病スティグマ尺度を作成し,当院に勤務する507名の医療従事者に対して調査を行い,医療者が糖尿病に対して抱いているスティグマの実態を検討した.尺度のCronbach αは0.832であり,信頼性が確認された.5因子のスティグマのうち,根拠のない自信,固定観念が最も高く,次いで偏見,恥ずべき疾患で,社会的差別は最も低かった.糖尿病患者との関わりを好まない方(p<0.001),関わりが高頻度である方が高かった(p<0.001).職種別では,固定観念は,医師が他の職種に比べて有意に高く(p<0.001),糖尿病は恥ずべき疾患という認識は,医師に比べ看護職で高かった(p=0.02).この結果から医療者の糖尿病に対する誤った認識があることが明らかになった.理想的な糖尿病患者像を求めることによる患者との間の意識の乖離が,スティグマに繋がっているのではないかと考えられた.